【体験談】宅浪に失敗した僕が大学院を目指す理由 ―宅浪生へのメッセージ

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自己紹介

初めまして、シュンヤと申します.

僕は青森県の御三家とよばれる高校を卒業し,そのまま地元に残って宅浪生活をはじめました.

予備校に行かずに宅浪を選んだのは,経済的な理由によるところが大きいのですが,家族がかなり気を遣ってくれたこともあって,宅浪していた頃の環境はとても良かったと思っています(詳しくは2章に書きたいと思います).

しかし,現役・一浪のいずれも一橋大学の経済学部にチャレンジしたのですが合格を勝ちとることができず,現役時にも受かっていた滑り止めの大学に進学することになりました.

そして2020年現在は学部の三回生となり,大学院への進学を希望しているため,大学院入試に向けた勉強とゼミの活動に奔走している日々を過ごしております.

ちなみに,学部二回生まではもっぱら塾講師の仕事ばかりやっていました(とはいっても,大学の勉強をさぼっていたというわけではなく,比較的真面目に取り組んでいたので,きちんとGPAは3.3前後はキープしています).

正直,学部一回生の頃は不本意な大学に入ることになったので,憂鬱な毎日でしたが,今は塾講師の仕事が軌道に乗ったこともあって,それなりに充実した毎日を過ごしております.

僕の宅浪時代について

 前述したように,僕は志望大学への合格を達成することができなかったので,このことをあらかじめ了解してもらったうえで読み進めて頂きたいと思います.

 僕自身の宅浪生活の最大の特徴は,「映像授業をフル活用していた」という点にあると思います.

僕は東進ハイスクールの在宅受講コースのサービスを利用しておりました.

このサービスは,東進ハイスクールが提供している授業や模試をすべて自宅で受けることができるというもので,非常に高価なものではあるのですが,都会の予備校に通うよりは割安だということで,僕が受講したいと思っていた講座をすべて受講させてもらいました.両親には本当に頭が上がらないです.

 僕は,この東進ハイスクールの在宅受講コースを使って勉強をしていたので,ここでは東進で受講していた講座名及び講義内容を具体的に説明しながら,どんなふうに勉強していたのか,また一日の過ごし方はどういったものであったのかを,より具体的に記していきたいと思います(東進の講座の内容に関して知りたい方は,東進wikiというサイトを参照してみてください).

春先(4月・5月頃)

 まずは,春先(4月・5月頃)についてですが,この時期は宅浪生活のスタートを切ったばかり,ということもあって,かなり意気込んで勉強していました.

勉強時間の記録などは残していないのですが,おそらく10時間程度の勉強時間は確保していたと思います.具体的にどういった勉強をしていたのか,という話ですが,この時期は二次試験科目の基礎・基本の徹底に努めていました

英語は,「西きょうじの飛翔のための英文読解講義(標準)」を受講しており,この講座の予習・復習にかなりの時間を費やしていました.

受講当時はあまり自覚がなかったのですが,この講座を受講していたときに,僕の英語力は最も向上したように思えます.というのも,それまで構文を厳密に解釈する,という作業を疎かにしていたきらいがあったので,この講座の受講を通じて,構文(とりわけ前置詞句と関係詞節の把握)をしっかりととるという作業を丹念に行っていたおかげで,英文の見方がそれまでとはがらりと変わりました.この時期にこうした勉強に取り組んだ意義はとても大きかったように思えるので,ぜひ参考にしてほしいと思います.

また,英文法の基礎固めとして「西きょうじのダイナミック英文法講義」も受講していたのですが,この講座では英文法の体系をかなり厳密に説明してくださっていたものの,当時の僕は活用の仕方が悪く,あまりうまく吸収することができませんでした.これは今でも非常に後悔しているところです…….

さて,次は数学についてですが,この時期は「数学ぐんぐん[基本編]」の予習と復習(とくに後者)にかなりの時間を割いていました.

同講座は,高校数学の本質的な部分にフォーカスして,教科書レヴェルから入試標準レヴェルまでをカバーするというコンセプトのもとで講義が行われていたのですが,90分で大問5つ,さらにはREVと呼ばれる復習問題も解かなければならなかったので,非常にヘヴィーな講座でした.90分で5題も扱うわけですから,受講するだけでも一苦労だったわけです.

しかし,「西きょうじの飛翔のための英文読解講義(標準)」と同様で,この時期に僕は数学力が飛躍的に伸びたように思えます

その理由はいくつかあると思うのですが,まずは必死になって板書を写していたということ,これは無意味な作業に思えますが,塾講師をするようになってから,この一見単調で誰でもできそうな作業には大きな意味があると思っています(否定論者も多いのですが).

そして,その板書とにらめっこしながら,理解することに重きを置いた復習に励んでいました

これらの,至極普通な勉強方法によって僕の数学力は格段に伸びたと思います.月並みな言葉ではありますが,学問に王道はないので,巷に蔓延る数多の勉強方法にとらわれず,シンプルな方法で勉強に取り組んでみてほしいと思います.

残りの科目に関してはさらっと触れて終わりにしたいと思います.

まず国語は,今やテレビに引っ張りだこの林先生が担当する「入試対策:センター試験対策現代文」と,スタディサプリで岡本先生の古文の文法と漢文の句法の講座を受講していました.

一橋大学は,センター試験の配点が低く,二次試験でも英数に圧倒的な比重があるため,正直なところ侮っていましたが,もっと丁寧に取り組んでおけばよかったと思っています.

次に日本史ですが,野島博之先生の「新スタンダード日本史B」を受講していました.この講座は受講するのが本当に楽しくて,とにかくどんどん進めていました.後に,一橋オープンで日本史も偏差値60を獲得するのですが,これはひとえに野島先生のおかげと言っても過言ではありません.

梅雨時期から9月頃まで

次に,梅雨時期から9月頃までをふり返りたいと思います.

今でも鮮明に覚えているのですが,梅雨時期毎日がおそろしいぐらいに憂鬱でした

その原因がなんであったかはわかりませんが,僕がだっちーさん(サイト主)と連絡をとるようになったのはちょうど6月ごろのことでした.おそらく,当時は藁にも縋るような思いだったのだと思います.ですから,宅浪生で気持ちが沈んでしまっていてどうしようもない人は,とにかく誰かに相談するようにしてほしいと思います.おかげさまで,6月の下旬までには何とかメンタルを立て直すことができました.

そしてを迎えることになるのですが,僕は両親と相談して,夏期講習だけ駿台のお茶の水校で受講することにしました.自宅という閉鎖的な空間に居続けることに嫌気が差しており,気分転換もかねて,モチベーションをさらに向上させるためにこういった選択をしました.

しかしながら,この選択がよかったのか,そうでなかったのかは今でも判然としません.良くも悪くも非日常的な環境に身を投じることになるので,それが功を奏すか否かは状況次第で変わるのだろうな,と思います.

ちなみに,僕の浪人仲間で一橋大学の社会学部に受かった友達は,この夏の時期に一日3題の英語長文に取り組んでいました.今こうしてふり返ってみると,第一志望に合格していった友人たち,そして塾講師として受け持っていた生徒たちのなかで成功していった子に共通していたことは,奇抜なこと(やたらと難しい参考書に取り組む,非常に有名な先生の授業を受けているなど)は一切行っておらず,とにかく地道に当たり前のことに黙々と取り組んでいたように思えます.

実際,いろいろな人を見ていて思うのですが,当たり前のことを当たり前にできる人ってあまり多くはありません.当時の僕も,地道な作業をするのが随分と苦手でした.今になってそういった作業の重要さに気が付き,多少はそうした作業を厭わなくなりましたが,それを高校生や浪人一年目の段階で気が付くのはなかなか難しいように思えます.もし,今の僕が当時の僕にたった一言だけアドバイスできるなら,「背伸びをするな」と言ってやりたいです.

閑話休題,夏頃の具体的な勉強の話に戻りますが,この時期は前述したことなどがあって,実はあまり勉強時間を確保できていませんでした.そのうえ,センター試験,二次試験のいずれにも自信がもてるほどの実力が身についておらず,焦燥感に駆られていました.

さて,ここからは以降の勉強について見ていきたいと思います.

まずは英語についてですが,僕はこのとき太庸吉先生の「英文読解の精髄――下線部訳から長文読解への旅路――」を受講していました。しかしながら,今考えるとこれは完全に失敗でした.あまりにも難しくて,僕の身の丈には合っていませんでした.

それでもこの講座を受け続けていたのは,「いつかできるようになるのではないか」というような淡い期待と,「これくらい難しいものに取り組んでおけば,まわりの受験生に(いい意味で)差をつけられるだろう」という邪な気持ちに負けてしまっていたからです.繰り返しになりますが,自己分析をきちんと行い,その時どきに適した教材を使う,というのは非常に大切なことだと,今にして痛いほど実感しています.

次に数学に関しては,鹿野俊之先生の「一橋大対策数学」を受講していました.この講座は質,量ともに非常に優れたものでしたが,僕の活用の仕方がよくありませんでした.数学に限らず全科目に言えることですが,この時期の勉強の仕方でよくなかったのは,焦りや不安のせいで丁寧に取り組むことを怠り,とにかく進むことだけしか考えていなかったことだと思います.

今思えば,この秋口の勉強の質の低さが,最終的な不合格につながってしまったのではないか,と思っています.ですから,これを読んでいる宅浪生のみならず,すべての受験生に今伝えたいことは,自分の能力を正確に分析し,その分析に即した勉強をしてほしいということ,現時点での自分の実力と志望校のレヴェルに多少のギャップがあったとしても,決して背伸びをしないでほしいということ,これらを強調しておきたいと思います.

そしてを迎え,センター対策に本腰を入れはじめましたが,やはり精神的に不安定であったことや,まわりに同じような境遇の受験生がいなかったことなどが相俟って,時間をしっかりと計って,集中して予想問題に取り組む,という勉強があまりできていませんでした.

一応,時間や形式は取り繕っていたのですが,実際のところはあまり意味のない練習であったように思えます.こうしてセンター試験本番を迎えたのですが,案の定,自分が目標点を大幅に下回ってしまい,この段階で僕の浪人生活は呆気なく終わってしまうことになります.

院進を志すようになったきっかけと今取り組んでいること

 僕は今現在在籍している大学への入学は不本意なものであったので,入学当初は編入することばかり考えていました.一橋大学とのギャップがあまりにも大きく,大学にいるだけで憂鬱な気分になっていたからでした.しかし,僕がこの大学に四年間在籍しようと思うようになったのには,いくつか理由があります.

 一つ目は,編入試験のせいで大学の四年間という貴重な時間を大幅にロスしてしまうと思ったからです.

編入するためには,勿論編入試験に合格するための勉強が必要になりますが,生半可なものでは通用するわけがありません.かなりの時間を割く必要があります.しかしながら,どの大学も編入試験の募集定員はきわめて少なく設定されており,倍率は必然的に非常に高くなってしまいます.そのため,かなりの時間を割いて準備したところで合格できる可能性がそんなに高くならないのです.仮にも編入試験を突破したとしても,編入後に取得しなければならない単位の数が多く,腰を据えて自分の勉強に励む時間が限られてしまう,これらのことを踏まえると,どうしても編入試験に踏み切ろうとは思えなかったのです.

 そしてもう一つの理由は,1章でも触れたことではあるのですが,塾講師の仕事がとても楽しかったからです.

入学当初は燻っていて,サークルや部活の新歓に一切顔を出さず,講義が終わったら家に帰って一人でご飯を食べて,だらだらと過ごすような日々を送っていた僕でしたが,塾講師という仕事には漠然とした憧れのようなものがあったので,チャレンジしてみることにしました.はじめた頃はなかなかうまくいかないことばかりでしたが,特に二回生になった頃,15人近くいる中学三年生のクラスを担当させてもらったのですが,そのクラスの子たちと過ごす日々が本当に楽しかったのです.この子たちと出逢えることができたのだから,この大学に来たのも悪くはなかったな,と思えるくらいに楽しい日々でした.

 こうした理由から,僕は編入することを諦めました.

しかしながら,やはり一橋大学への思いを捨てきれなかったのと,受験生の頃は一橋大学の五年一貫教育プログラムで修士課程を修了しようと思っていたので,院進を決意しました

両親も,第一志望校合格がかなわなかった息子を不憫に思ったのか,僕のこの決意を応援してくれています(もっとも,父親は博士課程を修了しているので,大学院への理解が深いというのもあるのですが).もし無事院進が達成できれば,今後学歴ロンダリングだと揶揄されることもあるかも知れませんが,その覚悟はできていますし,何より大学で経済学を勉強しているうちに,経済学という学問そのものにかなり惚れ込んでしまったので,この決意は揺るがないと思っています.

 そして現在,院進に向けて準備をはじめました.幸か不幸か,現在は諸般の事情により社会全体がストップしているため,腰を据えて勉強することができています.まだ勉強し始めたばかりなので,ここでお話しできることはほとんどないのですが,とにもかくにも二年前に味わった悔しさを二度と味わわないように頑張っているところです.

宅浪生に伝えたいこと

 宅浪生に伝えたいことはおおむね2章に書いたつもりなのですが,改めて大事なところだけをピックアップし,必要な部分を付け加えておきたいと思います.

とにかく自分の現在の成績(能力)をしっかりと分析すること少し低めに見積もっておくぐらいがちょうどよい.志望校と自分の成績とのあいだにギャップがあったとしても,背伸びをしないこと.

計画を立てるときは,三ヶ月後に本番があるかのような感覚で立てるべき宅浪生は基本的に時間の使い方は自由なので,莫大な時間があるように錯覚してしまうが,実際のところそんなに勉強時間を確保できるわけではない(経験則なので,たっぷりと勉強時間を確保できる人もいるかも知れないが).したがって,実際に使用する参考書の冊数はかなり絞るべき.「これだけだと足りないかな」と思うくらいでよい.もし達成できれば,計画を上方修正すればよいだけ.

特別なことをしようとしなくてよい予備校に行っていないことにコンプレックスを感じる人もいるかも知れないが,当たり前のことを当たり前にやっていれば,絶対に大丈夫.

運動をすること人間の集中力はそんなに長時間持続しないが,有酸素運動を行うことでリセットすることができる.

勉強ができない日があるのは人間なので当たり前真面目な人は,それでくよくよしすぎないこと.不真面目な人は,それを正当化せずに反省すること.

できればリアルな世界でコミュニティを作っておくこと勿論,TwitterやStudy Plusなどでもよいが,実際の人とのつながりはとても大事(僕のように田舎で宅浪をするとなかなか難しいのですが).地方の予備校に通うというのは選択肢として持っておくべき.「現役生と会うのは恥しい」などといったへたなプライドは捨て去ること.

 僕からは以上になります.失敗した人間の提言なので,参考にしづらいかも知れませんが,是非反面教師にしてやってください.みなさんには,是非第一志望の大学に受かってほしいと思います.

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この記事を書いた人

当団体のブログへ寄稿してくださった宅浪経験者ライターです。
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